雑記

閑話休題

ふと、この(応答したり自説を展開したりする)ブログって何かに似てるよな、と思ったら、『「ささえあい」の人間学―私たちすべてが「老人」プラス「障害者」プラス「末期患者」となる時代の社会原理の探究』に似てませんか? 内容も微妙に似ていたり、似て…

「当事者」と倫理の発露

極限状態論に関する、kanjinaiさんによる整理だが、少なくとも私の部分に関してはこれでいいように思う。再掲しよう。 救命ボートの例や、姥捨山問題の例について、 x0000000000さん: このような極限状況においては「倫理」は問えない、答えられない、選択…

赦しについての覚え書き2

先日起きた、息子が母親の頭部を切断した事件に関して、川村毅がブログで触れている。 こうした殺人に関して「あってはならないことです」とコメントするのは当たり前のことで、「あってはならないこと」なのだが、なぜ起こったのかかを善悪という概念を超え…

中島敦『山月記』と倫理

『山月記』を読んでいると思わぬ箇所が目にとまった。虎になってしまった主人公の李徴の嘆きである。 おれの中の人間の心がすっかり消えてしまえば、おそらく、そのほうが、おれはしあわせになれるだろう。だのに、おれの中の人間は、そのことを、この上なく…

極限状況論・整理

「倫理」をめぐるx0000000000さんとfont-daさんのアプローチは、次のようなことになるのでしょうか?救命ボートの例や、姥捨山問題の例について、x0000000000さん: このような極限状況においては「倫理」は問えない、答えられない、選択できない。極限状況…

ならば、誰に倫理を問えるのか?

ユダヤ人差別/排除の問題は、ヨーロッパに置いて長い歴史を持つ根深い問題ではあるが、やはりナチスによる「最終解決」(ユダヤ人絶滅作戦)は大きな意味を持つ。それまで、同化することにより非ユダヤ的に暮らそうとしてきたユダヤ人は、その限界を知り、(…

サバルタンと赦しについての覚え書き

〔・・・・・〕いたるところに回教徒の姿が見えた。かれらはやせ細って汚い格好をしていた。肌と顔は黒ずみ、視線はうつろになり、眼はくぼみ、服はすり切れ、ぬれていて、悪臭を放っていた。足取りはおぼつかなく、緩慢で、行進のリズムに合わせられない。〔・・・・…

救命ボート問題と姥捨山問題

エントリ「マーティン・コーエン『倫理問題101問』」のコメント欄で、kanjinaiさんが次のように書かれている。 この本で例示されている「救命ボート」問題と、私が提案した「姥捨山問題」は、決定的に異なっています。救命ボートでは、一人を乗せると全員…

少女漫画と男性漫画の目の大きさ

モテだの、媚びだの、ファッションだの関連話で、こちらの記事を読んだ。 で、なんですけどね。男性向け漫画の女性と女性向け漫画の女性ってのも顔が違うんです。少女漫画と少年漫画って、絵柄が違うでしょ?特に女性の描き方とか。特に何が違うかっていいま…

錯綜する「女らしさ」

先日、友人が家に遊びに来た。彼女は大変カワイイ女子(ヘテロ)である。性格や仕草もカワイイが、それ以上に顔がカワイイ。しかも美容関係の仕事に就いているので、カワイサを際だたせる術も持っている。もちろん、私の友人の中でも1,2を争うモテ女子で…

尊厳死とジェンダー

kanjinaiさんのエントリ「女性が安楽死させられる国アメリカ」にコメントを書いたが、本を見つけたので引用。社会学がわかる。 (アエラムック (12))出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1996/02メディア: ムック購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ…

女性が安楽死させられる国アメリカ

噂には聞いていたが、そのことを書いた文献を読む機会があった。これは、日本ではほとんど話題になっていないのではないだろうか。以下、下記の書物『女性とジェンダーの心理学ハンドブック』から引用。女性とジェンダーの心理学ハンドブック作者: ローダ・K…

非モテの男はモテモテになりたいの?

モテについての自分のエントリーへのみなさんの感想を読んでいて、ふと思ったのだが、「非モテ」という自己認識をしている男子は、モテについてどういう意識をもっているのだろう?モテたい、というときに、「許容できる相手なら誰でもいいから恋愛を経験し…

諸富祥彦『ずっと彼女がいないあなたへ』

モテ論を継続して読んでいる。諸富のこの本も読んでみた。ずっと彼女がいないあなたへ作者: 諸富祥彦出版社/メーカー: WAVE出版発売日: 2003/10/16メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 99回この商品を含むブログ (24件) を見る著者は臨床心理学専攻。私より…

ベーシック・インカム

昨日、東京と大阪で以下のような行進があったようだ。不安定生活限界だ フリーターら「生存メーデー」叫ぶ 生きさせろ――。フリーター、日雇い派遣労働者、障害者、ホームレス、生活保護の受給者など、低収入で不安定な生き方を強いられているさまざまな立場…

「モテる男」について再度考えてみた

4月14日に「モテとはひとりの女を大切にすることである」というエントリーを書いた。みなさんからいろんな反響があったので、その続きを書く。それに関連して、sugitashunsukeさんのところで、非モテ1.0 2.0 3.0という議論があった。 http://d.hatena.ne.…

「脳死は一律に人の死」なのか?

衆議院で、臓器移植法改正案の審議が始まるようです。そして早ければ、短期で採決に移るとの報道がありました。提案されている改正案は、中山案(旧町野案→旧河野案→修正)、斉藤案(森岡杉本案→小児科学会案→修正)の2案です。このうち、現在優勢である中…

朝日夕刊に青い芝の会

関西だけの連載かもしれないが、4月23日付朝日新聞の夕刊の連載「ありのまま生きて(6)」に、青い芝の会*1が登場している。副題は、「反差別 過激と言われても」。記事は、7割がた横田弘さん(青い芝神奈川県連合会長)のインタビュー。 青い芝の会は7…

創造説は見えすいた嘘、か?

たまたま読んでいた本に、次のような会話があった。 功刀(由紀子):社会的な受け入れ体制と科学者の積極的な努力がなければ、誤った考え方や偏見がいつまでも社会にはびこることになりますね。 赤松(良子):もう一つ教育の問題も大切です。ところによっ…

「33個」目の石−−バージニア工科大事件続報

バージニア工科大学事件の追悼がキャンパスで行なわれているが、キャンパスに置かれた犠牲者追悼のための「石」に、33個目の石、つまり容疑者のチョ・スンヒのためのものが追加されたとのことである。Associated Press の Matt Apuzzo は次のように書いて…

安倍首相の慰安婦問題への責任と反省とは?

安倍首相がニューズウィークとウォール・ストリート・ジャーナルに「慰安婦」問題に関しての「責任」問題を語ったらしい。毎日新聞による安倍発言の要旨 慰安婦の方々に人間として心から同情する。そういう状況に置かれたことに、日本の首相として大変申し訳…

バージニア工科大学事件とアメリカ映画

バージニア工科大学事件の犯人チョ・スンヒが、韓国映画「オールドボーイ」の影響を受けているのではないか、ということをニューヨーク・タイムズが報道して英語世界では話題になっている。 (ヘラルドトリビューン版) http://www.iht.com/articles/ap/2007…

「加担する」とは何をすることなのか

先のエントリーで、「「間接的ではあろうが、私は他人を見殺しにすることに加担した」と言えるであろうか」と問いかけた。それに対して、次の3つの意見がみなさんより出てきた。(1) 加担したと言える。 (2) 加担したとは言えない (3) よく分からな…

サルトル的「責任論」

本来なら、『実存主義とは何か』を引用すべきだが、あいにく手元にはないので、以下より引用。図解雑学 サルトル (図解雑学シリーズ)作者: 永野潤出版社/メーカー: ナツメ社発売日: 2003/08メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 145回この商品を含むブログ (…

ホームレスの人を助けなかった私

前エントリーでは、搦め手から迫ろうと思ったが、うまく成功しなかったので、今回は正面から行きます。これは、x000000000さんのエントリーに発する論争を腑分けするための私なりの第一歩の問いです。x000000000さんは遠いところにいる人々をテーマにしてい…

ホームレスの人を助けるべきか

x000000000さんのエントリー「「本当は、できるでしょう?」の原初的風景」(2007年4月9日 http://d.hatena.ne.jp/gordias/20070409/1176086019)が、hatena村で異様な反響を呼んでいるようである。それらの反響は、どれもたいへん興味深い。x00000000…

人を責めるのはよくないのか?

私の投稿した記事「「本当は、できるでしょう?」の原初的風景」に関して、さまざまな反応をいただいている。それはそれで、非常に面白い。その上で言えば、「自責としてならよいが、他人の責任を追及するような言い方はいかがなものか」という言い方が複数…

モテとはひとりの女を大切にすることである

モテ/非モテということが、男子のあいだで話題になっているようだ。これについては、人生の先輩として言いたいことがいろいろあるので、少しだけ書く。モテは、「ちょいモテおやじ」みたいに、いろんな女にちやほやされて、性的な視線を送られることという…

買った本

いつもx0000000000は、どんな本を買っているのか? とか思われる方もいるかもしれないと思い、今日書店に行って買ってきた本を並べます。哲学がはじまるとき―思考は何/どこに向かうのか (ちくま新書)作者: 斎藤慶典出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/04…

「本当は、できるでしょう?」の原初的風景

もう少し、この問題にこだわってみたい。 たとえば、私がコンビニで200円のおやつを買おうとするという状況を想定する。 目の前に、募金箱がある。そこには「アフガニスタンの人達は、4人家族で200円あれば1日暮らしていける」と書かれてある。 それでも、…