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2007年の3冊

今年、印象に残った3冊をあげます。私は、人間を描き出そうという試みで、興味深かった本を3冊。(必ずしも良書という意味で選んだわけではありません)(1)森田京子『子どもたちのアイデンティティー・ポリティックス―ブラジル人のいる小学校のエスノグラ…

「東京外国人」

東京外国人作者: Beretta P‐07出版社/メーカー: 雷鳥社発売日: 2007/07メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 東京に住む外国人の家を30軒くらい訪れ、撮影したスナップ集。自国のインテリアで統一する人ありーの、和風を追及…

修復的司法についての文献

ついに、日本の法学者による概論書が出版された。対話による犯罪解決―修復的司法の展開 (RJ叢書)作者: 高橋則夫出版社/メーカー: 成文堂発売日: 2007/11/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (2件) を見るとりあえず、これを読め…

他者の承認抜きには、存在承認は了解できない

mojimojiさんの「承認は分配できるか(財のように)」という記事のコメント欄で議論が始まり、お返事に「既に承認されて在ることを信じる」を頂き、さらにx0000000000さんの「信仰と信仰のシステム」という記事に議論が続いている。ここで、私の考えを整理し…

WOMEN'S DIARY PROJECT「WOMEN2008」

私は、去年からWOMEN'S DIARY PROJECT(http://www.womens-diary.com/pc/)が作っているスケジュール手帖を愛用している。今年も、「WOMEN2008」を取り寄せた。この手帖は巻末に、付録で月経周期表、公立女性センターリスト、DV相談支援センターリスト、相談…

「の自由をはばむもの」をが生み出すこと

x0000000000さんの「これは真の「生殖の自由」なんだろうか」↓を受けて考えた。 http://d.hatena.ne.jp/gordias/20071117/1195277074 人が自由になるための社会運動、特に20世紀の解放運動*1は重要だったし、必要だった。*2その極致が多文化主義だろう。お互…

クレームメーキング

ブログで情報発信していたところ、国会議員から問い合わせがあり、実際に国会質問の参考資料に使われた、という報告がある。 先日、参議院議員である松浦大悟さん(松浦大悟 - Wikipedia)から問い合わせのメールをいただきました。今国会で争点として取り上…

性同一性障害不当解雇撤回裁判

性同一性障害を理由にした解雇に対し、撤回を求める裁判が行われています。雇用者は社会福祉法人大阪自彊館(じきょうかん)で、大阪市野宿生活者巡回相談事業を営んでいます。原告は「『男か女かはっきりしろ』、『野宿者から蔑視される』など差別的な言葉…

「性同一性障害 × 患者の権利――現代医療の責任の範域」

12月8日に、立命館大学で、性同一性障害と医療の問題に関するシンポジウムが開かれます。基調講演の講師である田中玲さんの著作は読みました。トランスジェンダーであることを理由*1に、病院に受け入れ拒否をされた経験を綴られています。 また、現在、裁判…

喜納育江「ネイティブなるもの 魂の交わりを求めて」

境域の文学 (21世紀文学の創造 5)作者: 池澤夏樹,今福龍太出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/03/28メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (2件) を見る 先日、あるナショナリズムについて議論する場で、「沖縄」という問題が俎…

新屋達之「検察・刑事訴追の課題」

今月の「法律時報」に出ている新屋達之の論文が興味深かった。2007年の司法改革を批判的に論じている。新屋さんは、戦後改革以降の刑事手続きの当事者主義化、「検察の民主化」と「訴追の民主化」が未だ達成されていないことを指摘する。2007年の司法改革も…

2ちゃんねるで辻説法

荻上式BLOG経由で、知った話題。↓ 哲学で博士号取る予定の俺が、どんな質問にも哲学的に答えるhttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-185.html 哲学科の院生が、4時間以上にわたって、2ちゃんねらーと一問一答している記録。*1気の効いた答えが多くて…

ミャンマーからの「僕たちは小声で連呼する人間はいらない」という声

ニュースで聞いているだけだが、現在もミャンマーの状況は難しい。「すばる」12月号に土佐桂子「ミャンマーのいま ブログから見えること」というレポートが載っている。ミャンマーでは厳しい情報統制が敷かれている。土佐さんは、1998まで続いたネーウィン政…

余計なお世話を言いたくなる

tummygirlさんから、kanjinaiさんへの問いかけの記事が出されている。それに対しては、コメント欄で、kanjinaiさん自らが答えているので、終結ということだと思う。しかし、私はなんだか引っかかりを感じてしまった。 これはルサンチマンなのだろうかと思う…

「働かなくていいよ」って言われてみたい

kanjinaiさんの記事を読みながら、私の周りの女子は「働かなくていいよ」って、言われてみたい子が多いなあ、と思った。私たちの世代は、フェミ以降なので、女性が働いてもよい、という社会環境で育った。だから、結婚するまでは、腰掛だろうがなんだろうが…

長岡善幸「コミック性表現・規制の現在」

今月の『出版ニュース』(10月号)に、松文館のわいせつ裁判に関する。レポートが出ている。事件の発端は以下。 松文館に「わいせつ図画販売」容疑で警視庁保安課と代々木署が家宅捜索に入ったのは、2002年9月19日のことだった。元警察庁キャリアの平沢勝栄…

バトラー&スピヴァク「Who Sings the Nation-State?」

Who Sings the Nation-state?: Language, Politics, Belonging作者: Judith Butler,Gayatri Chakravorty Spivak出版社/メーカー: Seagull Books発売日: 2007/11/13メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログ (9件) を見る とにかく…

「ケアワーカーの仕事と賃金を考える!!」

「働く女性の人権センターいこ☆る」の連続講座が開かれる。 「ケアワーカーの仕事と賃金を考える!!」 今、ケアワーカーはどんどん仕事をやめていっています。 本当は、仕事は好きだし、やめたくないのです。じゃあ、ナゼ? 他の仕事に比べて賃金が安いから…

ホンゲル係数

読んでて、これはあるなあ、と思った話。*1 男性は、心の会計システムにおいて、女性と違う特徴があります。その最たるものは服を費用計上しているところです。だから、できるだけ服には金や時間をかけたがりません。無論例外はありますがね。ただ、大抵の男…

三村友希「浮船の<幼さ><若さ>――他者との関係構造から――」

源氏物語占いというサイトがある。馬鹿馬鹿しいと思いつつ、生年月日を打ち込むと、「あなたは六条の御息所です」というメッセージが表示されて、ぎゃふんとなった。という、エピソードを話すと、知人に「まだよかったやん。浮舟とか言われるよりは。」と言…

河野哲也「善悪は実在するか」

先日、友人の結婚式に出席してきた。新婦から、両親への挨拶で、彼女は泣きながら「私は父に叱られてばかりでした。そんな父をうとましく思ったこともありました。でも、今は、あれが本当の優しさだったと思います。お父さんありがとう。」と述べていた。高…

愛させる技術

kanjinaiさんが紹介しているように、17歳の女の子の水着DVDが児童ポルノとして摘発された。 http://d.hatena.ne.jp/gordias/20071022/1192991596 私自身、今年の春頃から機を見ては、この問題を友人と議論してきた。しかし、この問題は表現の自由、性の商品…

荻上チキ「ウェブ炎上――ネット群集の暴走と可能性」

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)作者: 荻上チキ出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/10/01メディア: 新書購入: 18人 クリック: 298回この商品を含むブログ (169件) を見る トラカレのchikiさんこと、荻上チキのウェブ論が発刊された。…

愛と暴力の間

杉田俊介が、弱者暴力についての批判を書いている。暴力の加害者は、ときに、別の暴力の被害者でありうる。そのとき、加害者は、過去の被害体験を持ち出して、自己のふるった暴力を正当化することがある。そのことについて、杉田さんは、簡潔に述べている。 …

関西レインボーパレード&秋の関西クィア映画祭

今月末には、関西レインボーパレード(http://www.kansaiparade.org/kanpare/index.html)が開かれます。去年はあいにくの雨だったけれど、今年は晴れるといいなあ。 関西レインボーパレードはパレードとして賑やかに歩くことで、自分の周りにはいない遠い存…

秋山駿「内部の人間の犯罪」

内部の人間の犯罪 秋山駿評論集 (講談社文芸文庫)作者: 秋山駿出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/09/11メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (4件) を見る 表題作の「内部の人間の犯罪」は、初出が1967年になっている。文庫版にな…

『クィアって何?ー学会立ち上げプレトークー』

東京で、クィア学会設立前に、イベントがあるそうです。場所は新宿のパフスペース(http://www.pafspace.com/pafspace/index.html)です。(追記:イベント情報を修正しました。2007/10/01) 『クィアって何?ー学会立ち上げプレトークー』10月27日のクィア学…

こういうのをバックラッシュと呼ぶのだろうか

私は、あまりバックラッシュ陣営とは絡むつもりはなかったのだけれど、ちょっと、「あんまりだ」と思ったので書いておく。(でも、すさまじくどうでもいいことなので、閉じておく)

加害者の家族・被害者の家族

死刑に関する本が紹介されているので、私は次を挙げておく。癒しと和解への旅―犯罪被害者と死刑囚の家族たち作者: 坂上香出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/01/26メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 15回この商品を含むブログ (4件) を見る注目される…

浅野素女「フランス父親事情」

フランス父親事情作者: 浅野素女出版社/メーカー: 築地書館発売日: 2007/03/01メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (14件) を見る フランスに住む女性が、フランスの男性にインタビューを行い、それをエッセイ風にまとめている本である。浅…