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Ashleyについてのエッセイ

例のAshley treatmentについての生命倫理側からのコメントが、新着のHastings Center Report 32:2(2007):pp.16-20に掲載されています。S.Matthew Liao, Julian Savulescu, and Mark Sheehan, "The Ashley Treatment: Best Interests, Convenience, and Paren…

新渡戸稲造『武士道』の切腹シーン

武士道 (岩波文庫 青118-1)作者: 新渡戸稲造,矢内原忠雄訳,矢内原忠雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1938/10/15メディア: 文庫購入: 20人 クリック: 146回この商品を含むブログ (217件) を見る名著の誉れ高い新渡戸の『武士道』だが、さすがに古典だけの…

ずんずん歩くロボットができたらしい

もうひとつ外電。BBCのレポートによると、二足歩行で、人と同じくらいの速度でさっさと歩くロボットが開発されたらしい。欧州の研究チームによるもので、歩行原理がアシモとかとはまったく違って、まず何も考えずに慣性でずんずん歩くが、坂にかかったり…

米国の高校生の性体験

AP電によれば、米国の高校生の性体験率はここ数年でどんどん低下し、平均で47%になり、コンドーム使用率はどんどん上昇して63%になったとのこと。これはティーンズの健康にとってたいへんよいこと、という専門家のコメントが載っている。http://www.…

男は女と同じくらいおしゃべりだ

7月5日発売の米国雑誌「TIME」に、「男は女と同じくらいおしゃべりだ」という記事が載っている。これはこの週の科学誌「SCIENCE」に掲載された論文を紹介したものだ。それによれば、大学生の男女の服に隠しマイクを付けてもらって、ランダムなタイミン…

サンデル『完全無欠への異議申し立て:遺伝子工学時代の倫理』

The Case against Perfection: Ethics in the Age of Genetic Engineering作者: Michael J. Sandel出版社/メーカー: Belknap Press of Harvard University Press発売日: 2007/05/01メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (4件) を見るハーバードの哲学…

サリンジャー『フラニーとゾーイー』太っちょのオバサマ

フラニーとゾーイー (新潮文庫)作者: サリンジャー,野崎孝出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1976/05/04メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 129回この商品を含むブログ (189件) を見るサリンジャー『フラニーとゾーイー』は、若いときに読んだのだが、いまい…

五体満足のうちに死ねるか?

「わかる」と「納得する」―人はなぜエセ科学にはまるのか作者: 松井孝典出版社/メーカー: ウェッジ発売日: 2007/06メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (3件) を見る松井孝典、鷲田清一、山折哲雄の著名文化人3名による鼎談である。けっこ…

最所フミ『英語類義語活用辞典』は名著だと思う

英語類義語活用辞典 (ちくま学芸文庫)作者: 最所フミ出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2003/07/09メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 70回この商品を含むブログ (15件) を見るこの本を、少しずつ読んでいる。これは、英語を本気で学習したい人にとって必読…

高齢者まで押し寄せる恋愛至上主義の波?

Yahoo!セカンドライフ特集で、「人は何歳まで恋愛できるか」というシリーズをやっている。 http://secondlife.yahoo.co.jp/life/special/070406/page001.html映画監督の浜野佐知が、高齢者の性について語っている。その内容については、私は好感をもって受け…

川口奈々子の絵を見た

ある用事があって、大阪のアートコートギャラリーという画廊に行く機会があった。ちょうどArt Court Frontierという現代作家たちの展覧会をやっていたので、じっくりと見ることができた。同時代の若手の作品群を見るのはひさびさだったし、空き時間がたくさ…

被害者参加制度は重罰化を推進するか?

『インパクション』157号(2007年7月10日号)にて、弁護士の山下幸夫が、「重罰化が進む昨今の法改正について」というコラムを書いている。その中に、今国会で成立(6月20日)した「被害者参加制度」(裁判の時に被害者側も出廷できるという制…

臓器移植法改正を考える勉強会

転送可とのことなので掲載します。長期脳死の「有里ちゃん」のお母さんの話が聞き所かと思われます。_________________臓器移植法改正を考える第15回勉強会 脳死は人の死? 本人意思は不要?【呼びかけ人】池坊保子 泉健太 漆原良夫 枝野…

ブリューゲルとルーベンス

今日が最終日だったので、急いで大阪・中之島にある国立国際美術館の「ベルギー王立美術館展」に行ってきた。すごいお客さんがたくさんいた。大阪の美術ファンってこんなに多いのだろうか。けっこうみんな、しぶい作品を熱心に見ていた。話題の、ブリューゲ…

竹内敏晴『生きることのレッスン』と身体の言葉

『ことばが劈かれるとき』の著者、竹内敏晴さんの新刊を読んだ。竹内さんは、竹内演劇研究所を主宰している。生きることのレッスン 内発するからだ、目覚めるいのち作者: 竹内敏晴出版社/メーカー: トランスビュー発売日: 2007/06/02メディア: 単行本 クリッ…

米国の手塚治虫

サンフランシスコのAsian Art Museumで海外初の本格的な手塚治虫展をやっている。Tezuka: The Marvel of Manga (June 2 - September 9) http://www.marvelofmanga.org/ (←重いです・・)解説など読むと、けっこう力が入っている模様。行ってみたいなあ・・…

鷲田清一『思考のエシックス』と「他者」

思考のエシックス―反・方法主義論作者: 鷲田清一出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2007/06メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (11件) を見る鷲田さんの新著で、「他者」について議論されている。レヴィナスの路線で考えていこうとし…

バンコク児童買春の闇

子どものねだん―バンコク児童売春地獄の四年間作者: マリー=フランスボッツ,Marie‐France Botte,Jean‐Paul Mari,堀田一陽出版社/メーカー: 社会評論社発売日: 1997/02メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 1,376回この商品を含むブログ (12件) を見るこれは…

MINAMATA の半世紀

転送可とのことなので、紹介します。MINAMATA の半世紀制作者とともに観るNHK 番組のなかの水俣病(全4回)

ケアリング・エージェントの生命倫理

研究室に新着雑誌がたくさん来ていたので、少し紹介。『Ethics』Vol.117,No.3 April 2007に、Arnieszka Jaworska, "Caring and Full Moral Standing" (pp.460-497)という大論文が載ってます。パーソン論は、ある存在者が正当な道徳的配慮を受けられる「人格…

自然科学とリベラルアーツの統合:このままでは無理

「"自然科学"と"リベラル・アーツ"を 統合する会」というものが、多田富雄先生によって設立されたというのを新聞で読んで、そのサイトを訪れてみた。http://www.insla.jp/多田先生はかつてNHKで対談させてもらったこともあるし、共著もあるしで、たいへん…

人文系における論文捏造とは?

今年2月に大阪府立大学工学部の大学院生による論文捏造が発覚して、新聞でも報道された。調査委員会のレポートが、5月に公表されている(「調査概要」PDFファイル)。そこから引用: 当該学生の主張要旨 データを捏造した動機は、良い研究結果を出すこ…

ニート君もう春ですよ・・・

第17回伊藤園新俳句大賞の佳作特別賞に次のような句があった。 ニート君もう春ですよ動きなさい ((c)著者) 著者はおそらく素人の方であろうから、名前は出さない。これは昨今のニート論批判の視点からすると、どうなんだろうと思ってしまった。またこれ…

「ここにサバルタンがいる」と言えるのか?

font-daさんのエントリー「ガヤトリ・スピヴァク来日」において、font-daさんが、 スピヴァクの話は、研究者のような特権階級にはない人(=声をあげるチャンスを奪われている人)が、優先的に聞けるようにすべきでは??理想論かなあ。 と書かれ、私のコメ…

ゲーテ「野ばら」再考

かの有名な若きゲーテによる詩「野ばら」、シューベルトらも曲を付けているから、みなさんも一度は聴いたことがあるだろう。手塚富雄先生による訳詩。ゲーテ詩集 (1966年) (角川文庫)作者: ゲーテ,手塚富雄出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1966メディア: …

17・18世紀の中絶の手技

植物と帝国―抹殺された中絶薬とジェンダー作者: ロンダシービンガー,Londa Schiebinger,小川眞里子,弓削尚子出版社/メーカー: 工作舎発売日: 2007/05/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (22件) を見るシービンガーの『植物と…

小谷野敦のモテ論と私

モテの関係で、ひさびさに小谷野敦『もてない男』(1999年)を再読している。もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1999/01/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 121回この商品を含むブログ (174件) …

モテへのアドヴァイスは恋愛至上主義に加担するのか?

みなさんからの多数のコメントなどを参考に、再度、モテについて最初から考えてみる。まず、人は恋愛する必要はない。モテる必要もない。私はそのように考えている。だから「恋愛できない男は、男じゃない、一人前ではない」という思想(恋愛至上主義)を私…

地主に課税すると都会から緑が消える!?

和光市議会議員の松本たけひろさんのブログで、地主に重課税すると、地主はその土地を手放し、マンションなどの開発が始まって、都会から緑が消えるという主張が載っている。 東上線沿線のケヤキの大木はほとんど地主の屋敷林にあります。のびのびと高くそび…

バージニア工科大学事件と「移民」

『現代思想』2007年6月号に、山本薫子さんの「ディアスポラの子どもたち」が掲載されている。テーマは日本にいるブラジル移民だが、枕として、バージニア工科大学事件の容疑者のことが書かれている。彼は、韓国からの移民だったのだが、その点は、事件…