最所フミ『英語類義語活用辞典』は名著だと思う

英語類義語活用辞典 (ちくま学芸文庫)

英語類義語活用辞典 (ちくま学芸文庫)

この本を、少しずつ読んでいる。これは、英語を本気で学習したい人にとって必読書ではないだろうか。一見、意味が同じように見える類義語の、意味の違いのニュアンスを、見事に説明しきっている。どのページを読んでも、読むたびに目から鱗が落ちる。たとえば、みなさんは、catchとcaptureの違いが分かりますか?

catch/capture
この2つは対象をとらえることだが、「とらえる」という言葉によって表わし得るものは必ずしも同じではない。
"catch"は一般語で使い方も広い。原則的には空中を飛んでいるものを捕まえる、また逃げかくれしているもの、知られたくないものの不意をつく意味もある。
(1) A dog caught a ball in his mouth.
(中略)
"capture"はつまり、「捕獲」の延長線にある言葉で、ものの姿をカメラやペンによって「とらえ」、永久に変わらないそのままの形で保存する意味に使うのが特色である。
(3) The film beautifully captures the way the Indian people lived during the English colonial days.
(68−69頁)

このように、ニュアンスの決定的な違いを、見事な日本語で表現してくれている。最所さんは学者ではなく、Japan Timesなどに長く英文記事を執筆していた方である。映画評などを書かれていたようなので、まさに生きたニュアンスに敏感だったのだろう。

では、disinterestedとuninterestedの違いは?

disinterested/uninterested
この両者は、ともに"interested"(関心がある)の否定形である。しかし、片方はdisinterested、片方はuninterestedで、絶対に混同すべきでない言葉なのである。辞書には両者とも「無関心」と出ている。だがこの訳語は大きな誤解を生む。なぜかと言うと、"disinterested"は利害関係をもたない故の「無関心」なのであって、そのため問題について感情的になる必要のない立場にあることに重点がある。だからむしろ「公平」と訳したほうが近い。・・・(中略)・・・だから"disinterested"はよいこと、ほめたことなのである。一方、"uninterested"は対象にまったく関心がないこと。あくびが出るほど退屈感をもよおすことである。(120頁)

非常に濃密な本なので、毎日少しずつしか読み進むことができない。しかしこれは名著ではなかろうか。