川口奈々子の絵を見た

ある用事があって、大阪のアートコートギャラリーという画廊に行く機会があった。ちょうどArt Court Frontierという現代作家たちの展覧会をやっていたので、じっくりと見ることができた。同時代の若手の作品群を見るのはひさびさだったし、空き時間がたくさんあったので、嘗めるように見てしまった。みんなよくがんばっている。そのなかでひときわ目を引いたのが、川口奈々子という作家の油彩である。ちょっと自虐的でサイケデリックな絵柄は、今後の展開が期待されたし、才能は他を抜いていたと思う。おそらく、そのうちにこの人は業界で大物になるだろうし、海外でも高く売れる作家のひとりになるだろう。現在29歳なのでこのままいけばすごいことになりそうだ。ネットには彼女の作品がいくつか上がっている。

http://www.inax.co.jp/Culture/2006_07/2_07kawaguchi.html
http://www.artfairsnet.com/contents/index.php?m=SearchItem&id=163
http://www.yukasasaharagallery.com/images/kwg1.jpg

何がよいアートか、という基準については様々な議論があるし、私もよく分からない。だから、私は、もし自分に金があったら、金を出してそれを買うかどうかというのを、大きな基準している。川口の絵は、金があったら買ってもいいと思わせる何かを持っている。(いまは金もないし、飾る場所もないから、買えない)

あと思ったのは、私が若い人を評価するときには、その人の今後の伸びしろの部分まで含めて評価してるんだろうなということだ。これからこのまま伸びていって、予想される壁にぶちあたってそれを崩していければ、どんなことになるだろう、というその期待感を買うみたいなことだろうか。これは多くの人にとってそうなのではないか。たぶん、「いいなあ!」みたいな気持ちというのは、いま目の前に表われて見えているものの、その向こうに広がっているはずの見えないものに対する、感嘆符であるような気がする。