17・18世紀の中絶の手技
- 作者: ロンダシービンガー,Londa Schiebinger,小川眞里子,弓削尚子
- 出版社/メーカー: 工作舎
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 単行本
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シービンガーの『植物と帝国』を読み終えたが、なかなか読みごたえのある作品であった。その中で、次のような箇所があったので、引用しておきたい。
ただし、中絶などについて苦手な方や、生々しい記述がダメな方は、続きを読むのは控えておいてください。
スローン自身も、中絶が是が非でも必要なときには、薬草の調合よりも「手技」のほうが好ましいと述べている。これは紀元一世紀、おそらくそれ以前にまで遡る古代の手法で、これに則って医者は女性をベッドに仰向けにし、三人の女性が彼女を抱え、膝を胸元まで押し上げさせた。医者は椅子に座り、油、新鮮なバター、あるいは無塩のラードを手に塗り、子宮頸部から子宮内へと「やさしく」指を一本ずつ挿入し、手全体を内側へ滑り込ませるのだった。ヘルマン・ブールハーフェは、これらの部位を弛緩させるために女性にアヘンを与えるよう勧めた。医者の手が子宮の中に入るとすぐ、薄膜を破り、胎児の足をつかみ、「外へと引き出した」。次に、医者は胎盤を子宮から指で引き離し、取り出した。妊娠初期の数週間なら、「丸みを帯びた鉤」のように曲げた指一本で、胎芽を子宮から引き出すのに充分だと言う内科医もいた。(150〜151頁)
あまりお目にかかれない叙述だと思うので、資料的価値は相当高いのではないだろうか。(シービンガーはスタンフォード大学教授、フェミニズム科学史)