人文系における論文捏造とは?

今年2月に大阪府立大学工学部の大学院生による論文捏造が発覚して、新聞でも報道された。調査委員会のレポートが、5月に公表されている(「調査概要」PDFファイル)。そこから引用:

当該学生の主張要旨

データを捏造した動機は、良い研究結果を出すことが良い就職につながると思ったからである。当該教授の評価を得たかったという気持ちもあった。 1度、捏造したデータを作ってしまうと、それを塗り重ねるしかなかった。 当該教授は、自分を信用しているので、疑うはずはないと思っていた。 データの捏造は、理想的でなく、わざと多少の問題点を含めたものを作れば気付かれないと思った。しかしながら、リアルなデータは簡単には作れないから、かなり関連する論文を読んだ。 助手が計測器の計測限界を調べ始めた時点で、発覚することを覚悟した。発覚したときは、自分は生きる価値は無いと思った。死にたいとも思った。工学研究科のある教員から、これから前向きに生きることが償いになると言われたので、今は何とかそうしたいと思っている。

なんとも生々しい。この学生の指導教員2名が減給などの処分となっている。

ところで、人文・思想系における論文捏造ってどんなことがあるんだろう。文献研究と思索がほとんどで、実験や調査はあまりしないから、たとえば外国語文献の意図的な誤訳とか、存在しない文献を引用するとかかな。「盗作」はけっこうありそうだけど、「捏造」となるとあまり思いつかない。人文系の論文の場合は、書かれた表面の文章に出ているものがほぼすべてだから捏造しようがないということなのかな。どうだろう。