自然科学とリベラルアーツの統合:このままでは無理

「"自然科学"と"リベラル・アーツ"を 統合する会」というものが、多田富雄先生によって設立されたというのを新聞で読んで、そのサイトを訪れてみた。

http://www.insla.jp/

多田先生はかつてNHKで対談させてもらったこともあるし、共著もあるしで、たいへんお世話になっている偉い先生である。この会の賛同人・実行委員会のメンバーも、多田先生の豊富な人脈のおかげで壮絶なメンバーが集まっている。このプロジェクトはいわゆる理系と文系の統合・融合を目指すものだ。その討論などの活動はすべてネットで行なうとされている。

はっきり言わせてください。無理です。まず賛同人・実行委員会の偉い先生方はネット時代以前の方々で、ウェブのことをたぶん肌で分かってない。その証拠に、上記のオフィシャルサイト、ありえんぐらいダサい。レイアウトもむちゃくちゃだし、PDFが散らばっているし、インタラクティブになってない。本ブログ見てるみなさんならきっと私の言いたいことお分かりになるでしょう。

私は賛同される先生方の意図は非常に理解しているし、貴重で崇高だと思う。でもこれじゃダメ。私自身、1988年からずっと理系と文系の統合・融合プロジェクトに山ほどかかわってきた。それらと、今回のとの違いがまったく分からない。結局、功成り名遂げた学者たちの学際的講演会・シンポジウムを並べて終わりになるであろう。そこでは何ものも統合されないし融合されない。

理事に藤原書店の社長が入っている時点で、今後の成り行きがだいたい予想される。

お世話になった先生方が多数参加されている会のことを、こんな悪し様に言う私は恩知らずの親不孝者である。でも私にここまで言わせる何かがそこにはあるということを先生方には分かっていただきたいと思う。

もし本気でやるのなら、この企画の現状を過激に解体しないとダメだ。