新刊

池田晶子『リマーク』について

以前のエントリーで池田晶子の新刊を面白くないと評した。その後、この本『リマーク』を入手できたのでパラパラと読んでみた。リマーク 1997-2007作者: 池田晶子出版社/メーカー: トランスビュー発売日: 2007/07/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回…

非物質的労働

アントニオ・ネグリ講演集〈上〉“帝国”とその彼方 (ちくま学芸文庫)作者: アントニオネグリ,Antonio Negri,上村忠男,堤康徳,中村勝己出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/08メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (23件) を見るア…

井出草平『ひきこもりの社会学』

注目の新刊。ひきこもりの社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)作者: 井出草平出版社/メーカー: 世界思想社発売日: 2007/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 130回この商品を含むブログ (36件) を見る著者のサイト…井出草平の研究室 著者のブログ…sociologica…

サバイバル・ロッタリー擁護論

新着のBioethics誌に、ハリスのサバイバル・ロッタリーの改良案の擁護論が掲載されている。Gerhard Overland, "Survival Lotteries Reconsidered", Bioethics 21:7, pp.355-363, (2007)。オーバーランドは、サバイバル・ロッタリーの概念を、national lotter…

光文社古典新訳文庫(9月)

書店に行くと、光文社古典新訳文庫の『カラマーゾフの兄弟』が平積みになっていた。全5巻合計で26万5000部を突破したということで、外国の古典文学としては異例の売れ行きらしい。 9月の新刊情報が出た。スタンダールとカフカとフロイトは、ぜひ買い…

筑摩書房の新刊(9月)

9月の新刊案内です。哲学書では、ラッセルの『論理的原子論の哲学』が邦訳されますね。http://www.chikumashobo.co.jp/comingbook/

ポストコロニアルって

『現代思想』8月号に、磯前順一「外部とは何か?− 柄谷行人と酒井直樹、そしてクリスチャン・ボルタンスキー」という論文が掲載されている。冒頭から、柄谷の「探求1」の議論が引用されていて、なんか懐かしい。ポストコロニアル研究について、磯前はこう…

オバサンの性的欲望は少年へと向かう

『論座』2007年9月号で、信田さよ子が「ホントはこわい?王子ブーム」というエッセイを書いている。まず、ペ・ヨンジュンファンの一部が、斎藤佑樹(ハンカチ王子)に流れたが、信田自身がその典型だと告白する。まずは斎藤が、安定した愛情溢れる家族…

『思想』1000号記念・続き

『思想』1000号記念特集の座談会「思想の100年をたどる(1)」で、佐藤卓己、苅部直、米谷匡が鼎談している。そのなかで戦前戦中の時期の『思想』や隣接雑誌について語っているところがおもしろい。林達夫は、読み手に「哲学的公衆」が登場し、哲学…

大東亜戦争と「思想」

『思想』8月号は、「思想第1000号記念特集」を組んでいる。総目次がすごい分量だが、これは思想史家にとっては役立つ資料となるだろう。谷川徹三による回想的エッセイ「『思想』の一七年 −昭和四年から昭和二〇年まで」が資料として採録されている。読…

岩波書店の新刊(8月)

新刊情報が出ています。哲学関連では、マーティン・ジェイ『アドルノ』が現代文庫に収録されてます。岩波書店

中島義道『「人間嫌い」のルール』

「人間嫌い」のルール (PHP新書)作者: 中島義道出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2007/07/14メディア: 新書購入: 7人 クリック: 38回この商品を含むブログ (66件) を見る中島さんの新著である。しかしこの人は、どういうスピードで執筆しているのだろうか…

『事例でまなぶケアの倫理』

ユニークな生命倫理の入門書が登場した。事例でまなぶケアの倫理―看護共通技法 (G supple)作者: G supple編集委員会出版社/メーカー: メディカ出版発売日: 2007/06メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (2件) を見る看護師の国家試…

池田晶子『暮らしの哲学』

暮らしの哲学作者: 池田晶子出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2007/06/29メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 31回この商品を含むブログ (35件) を見る 急逝した池田晶子さんの遺作のひとつ。『サンデー毎日』に連載されたエッセイをまとめたもの。訳あ…

『流通する「人体」』

流通する「人体」―献体・献血・臓器提供の歴史作者: 香西豊子出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2007/07/17メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 62回この商品を含むブログ (21件) を見る研究会で一度お会いし、名刺をいただいた方だが、博士論文が単行本化…

脳科学と倫理と法

みすず書房より、神経倫理学関連の論文集が邦訳されたようです。http://www.msz.co.jp/book/detail/07315.html脳科学と倫理と法―神経倫理学入門作者: ブレントガーランド,Brent Garland,古谷和仁,久村典子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2007/07/20メデ…

カラマーゾフの兄弟

以前のエントリーで言及した光文社古典新訳文庫。亀山郁夫さんによる新訳『カラマーゾフの兄弟』の刊行が完結しました。さっそく買ってきます。http://www.kotensinyaku.jp/カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)作者: ドストエフスキー出版社/メーカー…

長谷部恭男「日本国民、カモーン!」

「UP」(東京大学出版会)の6月号をぱらぱら読んでいると、テンションの高い題名の文章があったので、読んだ。長谷部さんは、ロンドンのおもちゃ屋で、異様にリアルなヘビのパペットをみつける。 筆者は、東京コミックショウの「レッド・スネイク・カモーン…

『現代思想・総特集ヘーゲル』

今月号の『現代思想』臨時増刊の特集は、ヘーゲルの「精神現象学」である。いろんな人たちが論説を書いている。冒頭の加藤尚武「『精神現象学』というゆがんだ真珠」は、加藤的な割り切りがたいへん面白い文章である。 ヘーゲルという思想家は体質的に未完成…

Ashleyについてのエッセイ

例のAshley treatmentについての生命倫理側からのコメントが、新着のHastings Center Report 32:2(2007):pp.16-20に掲載されています。S.Matthew Liao, Julian Savulescu, and Mark Sheehan, "The Ashley Treatment: Best Interests, Convenience, and Paren…

『もうガマンできない!広がる貧困』

もうガマンできない! 広がる貧困作者: 宇都宮健児,湯浅誠,猪股正出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2007/06/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (11件) を見る私は、この国で何が誇れるかといえば、現行の憲法であると思ってい…

筑摩書房の新刊(8月)

http://www.chikumashobo.co.jp/comingbook/ 8月の新刊情報。目を引いたのは、木村敏『分裂病と他者』、永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み』、アントニオ・ネグリ『アントニオ・ネグリ講演集』、生田武志『ルポ最底辺 ─不安定就労と野宿』、佐々木毅『…

モーリス・ブランショ「奇異なことと異邦のもの」

今月の『思想』(岩波書店)はブランショ特集。ブランショの「奇異なことと異邦のもの」の邦訳(訳者:上田和彦)が掲載されている。ブランショは「詩の言葉」が「純粋な断言」によって問いかける、という主題を述べている。 問いかける仕方は、ひとつの断言…

『難民』とは誰か

昨日、「Women in Struggle パレスチナ・女たちの闘い」上映会に行ってきた。岡真理さんや岡野八代さんもラウンド・トークでいらっしゃって、豪華。 映画の内容自体は、パレスチナ解放闘争を戦う女性たち4人の生活を追い、「証言」でつづるドキュメント。パ…

サンデル『完全無欠への異議申し立て:遺伝子工学時代の倫理』

The Case against Perfection: Ethics in the Age of Genetic Engineering作者: Michael J. Sandel出版社/メーカー: Belknap Press of Harvard University Press発売日: 2007/05/01メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (4件) を見るハーバードの哲学…

五体満足のうちに死ねるか?

「わかる」と「納得する」―人はなぜエセ科学にはまるのか作者: 松井孝典出版社/メーカー: ウェッジ発売日: 2007/06メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (3件) を見る松井孝典、鷲田清一、山折哲雄の著名文化人3名による鼎談である。けっこ…

江花優子『11時間』

以下の本を注文してみた。11時間 -お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか-作者: 江花優子出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/06/29メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) を見る小学館のサイトに、詳しい情報がある…

鶴見俊輔書評集成

みすず書房の新刊案内より。哲学者の鶴見俊輔さんの書評集が刊行されるそうです。全3巻で、各巻平均500頁という文字量はかなりのもの。http://www.msz.co.jp/news/topics/07311.html

大澤真幸『ナショナリズムの由来』

ナショナリズムの由来作者: 大澤真幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/06/29メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 54回この商品を含むブログ (79件) を見る以前、ここで話題になっていた大著が、ついにお目見えでございます。ギリギリ5千円以下。まだ買…

杉野昭博『障害学――理論形成と射程』

日本でも、「障害学」と呼ばれる領域が精力的に研究されつつある。本書は、いま絶好のタイミングで出版されたと言って差し支えないだろう。障害学―理論形成と射程作者: 杉野昭博出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2007/06/01メディア: 単行本 クリック…