大東亜戦争と「思想」

『思想』8月号は、「思想第1000号記念特集」を組んでいる。総目次がすごい分量だが、これは思想史家にとっては役立つ資料となるだろう。

谷川徹三による回想的エッセイ「『思想』の一七年 −昭和四年から昭和二〇年まで」が資料として採録されている。読んでいると、昭和一七年六月が「大東亜戦争」特輯を組んでいるらしい。

一七年六月には特輯「大東亜戦争」を出した。これは僅かに六十二頁のもので、その目次は次の如くである。

高坂正顕 大東亜戦と世界観
飯倉亀太郎 国家と戦争
平野義太郎 諸民族統治・指導の原理
班目文雄 大東亜の国境理論
岩村忍 亜欧大陸諸民族活動の方向についての史的考察
江澤譲爾 生活空間と国防空間
大熊信行 われわれの問題

(66頁)

内容は一切論評されていない。この特輯は、ちょっと読んでみたい気がする。谷川徹三は哲学者、京大哲学科卒、法政大学総長。宮沢賢治研究者。長男は俊太郎である。