ヤン・パトチカという哲学者
『思想』12月号が、チェコの哲学者、ヤン・パトチカの特集を組んでいる。パトチカは、1977年に、チェコの警察による過酷な訊問を受けて、70歳を目前に死んだとのこと。この特集を読むまで、私はこの哲学者についてまったく知らなかった。亡命することもできたかもしれないのに、チェコに残り、地下大学で解放運動をしながら死んでしまった人である。よい特集であると思った。
特集のなかで、今道友信が、生前に面識あった者として追悼文を書いている。例によって、臭みに満ちた文章で辟易とするが、それでもパトチカの面影は伝わってくる文章となっていると言える。おそらくパトチカは、今道のように自分はこんなにすごいということを言わないと文章が書けない人とは対照的な、ソクラテスのような哲学者だったのだろうと思った。