身体が動かない 子どもの運動能力に異変

本日のNHKクローズアップ現代です。

http://www.nhk.or.jp/gendai/

「ボールを前に投げられない」「転んでも手をつけず、顔面を打撲」。今「走る、跳ぶ、投げる」などの基本的な身体能力が備わっていない子供が急増している。文科省の最新の調査でも、体力格差が広がり、低いレベルの子供の体力は、際限なく下がり続けているという危機的な状況が浮かび上がった。背景には、野外で体を動かして遊ぶ機会が激減していることが指摘されている。親たちも、子どもの外遊びには消極的な現実もある。「屋外遊び」をしない子供は、大きなケガや病気をし易く、子供同士の遊びの中で培われる社会性、協調性の欠如など、心の発達にも影響があることがわかってきた。番組では、今、子供たちを取り巻く環境と心身に何が起きているのか、その実態を取材する。
(NO.2512)

 参考

アピタル(医療・健康・介護):朝日新聞デジタル

睡眠の本

眠りの悩み相談室 (ちくま新書)

眠りの悩み相談室 (ちくま新書)

睡眠とは何かについて、やさしく書かれていて、いろいろ参考になった。睡眠不足で悩んでいるときでも、「寝なきゃ、寝なきゃ」とあせって思っているのはかえってよくないとのこと。身体が本気で睡眠を欲しているときには、ほっといても寝てしまう。自分の不眠の状況を正確に把握しておけば、正しい対処法が見つかるという。夕食後から深夜直前までのあいだの時間は、一種の覚醒時間なので、この時間に寝ようとするとかえって寝付けなくなるということで、これはたしかに身に覚えがある。

自分のことを言うと、私はかなりのロングスリーパーである。過剰睡眠にはいろいろ原因がある。当てはまりそうなものも、当てはまらないものもあるが、実際はどうなのだろう。平均睡眠時間が8時間を超えると寿命が短くなるらしいが、かといってそれを無理に短縮しても寿命が伸びるわけではないという。ちなみに個人的には昼寝がいちばん気持ちよい睡眠体験のように思う。

『コーラ』第3号発刊!

Web評論誌『コーラ』第3号が発刊されたようです。
http://sakura.canvas.ne.jp/spr/lunakb/index.html

今号の私の個人的注目は、美馬達哉「グローバリゼーションと身体のテクノロジー」、清末愛砂「語りが伝える不正義に向き合う――あるパレスチナ女性のライフ・ヒストリーから」です。どちらも、関西の若手研究者です。

さらに個人的には、黒の表紙が渋くて気に入りました。

ワーキングプア3 〜解決への道〜

 明日の夜、午後9時15分〜10時34分、NHK総合テレビで放映です。再掲しておきます。

http://www.nhk.or.jp/special/onair/071216.html

 去年2回にわたって放送したNHKスペシャル「ワーキングプア」は、日本で拡大する“働く貧困層”の実態を伝え、大きな反響を呼んだ。今回の「第3弾」では、海外にも取材を広げ、問題解決に向けた道筋を探る。
 ワーキングプアの問題は、グローバル化が進む中、日本と同じように市場中心の競争を重視する世界の国々でも、今や共通の課題となっている。非正規雇用が急速に拡大する韓国では、低賃金の生活に耐えきれず自殺者が続出している。世界経済の中心・アメリカでは、IT企業のエリートまでもが海外の労働者との競争に晒され、低賃金に転落している。
 こうした国々では、問題解決に向けた対策も始まっている。米ノースカロライナ州では、地域全体で医療関連産業とその人材の育成に取り組み、ワーキングプアのための新たな雇用を創出した。貧困の連鎖が進むイギリスでは、子どもから大人まで手厚い保護の網を張り、国を挙げて貧困の撲滅に乗り出している。そして日本でも、ようやくこの問題を「社会の責任」と受け止め、ワーキングプアの人たちを支えようと模索する地域や企業も出てきている。
 番組では、世界と日本の最前線の現場にカメラを据え、直面する課題と解決に向けた取り組みを追う。そして各国の識者の提言も交えながら、ワーキングプアの問題とどう向き合うのか、もう一度、国民的議論を呼び起こす。

 参考

ワーキング・プア―アメリカの下層社会

ワーキング・プア―アメリカの下層社会

ワーキングプア―日本を蝕む病

ワーキングプア―日本を蝕む病

現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書)

現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書)

ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (宝島社新書)

ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (宝島社新書)

生きさせろ! 難民化する若者たち

生きさせろ! 難民化する若者たち

貧困襲来

貧困襲来

新しい階級社会  新しい階級闘争    [格差]ですまされない現実

新しい階級社会 新しい階級闘争 [格差]ですまされない現実

プラトンの『国家』

名著誕生4 プラトンの『国家』

名著誕生4 プラトンの『国家』

Plato's Republic: A Biography (A Book that Shook the World) (BOOKS THAT SHOOK THE WORLD)

Plato's Republic: A Biography (A Book that Shook the World) (BOOKS THAT SHOOK THE WORLD)

 サイモン・ブラックバーンケンブリッジ大学哲学科)著 Plato's "Republic" の邦訳がポプラ社から刊行された。訳者は木田元さんで、鷲田清一さんの解説がついている。読むのはこれからだが、訳者によると、随所で独特のプラトン解釈がなされているらしい。楽しみである。

 目次紹介がポプラ社のウェブサイトにある。
http://www.poplar.co.jp/shop/shosai.php?shosekicode=80003740

 本書は「名著誕生」というシリーズの第4巻。すでに、マルクス資本論』、ダーウィン種の起源』、トマス・ペイン『人間の権利』が刊行されている。

マルクスの『資本論』 (名著誕生)

マルクスの『資本論』 (名著誕生)

名著誕生2 ダーウィンの『種の起源』

名著誕生2 ダーウィンの『種の起源』

名著誕生3 トマス・ペインの『人間の権利』

名著誕生3 トマス・ペインの『人間の権利』

 同シリーズで、今後は『コーラン』『聖書』、ホメロスイーリアス』『オデュッセイア』、アダム・スミス国富論』、クラウゼヴィッツ戦争論』、マキアヴェッリ君主論』が刊行されるという。

 追記

 kajinai さんからコメントをいただきましたが、『聖書』は、カレン・アームストロングの "Bible" が翻訳されるらしいです。

The Bible: A Biography (Books That Changed the World)

The Bible: A Biography (Books That Changed the World)

『哲学の誤読』入試問題の哲学的読み

哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)

哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)

入不二基義さんの新刊『哲学の誤読:入試現代文で哲学する』は、なかなかの傑作である。大学の入試問題に実際に出た、野矢茂樹「他者という謎」、永井均「解釈学・系譜学・考古学」、中島義道「幻想としての未来」、大森荘蔵「「後の祭り」を祈る」という文章を題材にして、予備校の解答例がいかにそれらの哲学的文章を読めてないかを指摘し、哲学の文章が、哲学ではない文章へと変換されていく仕組みを考察したものである。この仕組みの原因のひとつは、哲学の文章の意味するところのものがプロの解説者によってさえ往々にして理解されていないところにあるのだが、それと同時に、入試の現代文というパラダイムそれ自体にも原因はある。

そのあたりの迫り方はユニークである。入試問題文を素材にして哲学入門を書くというのは、たしかに世界でもはじめての試みかもしれない。その意味でこれはたしかに哲学書である。海外の思想家のものを解釈して輸入することを哲学と呼ぶのをやめて、こういう本を哲学書と呼ぶようにしなくてはならない。

あと思うのは、これは入不二さんのバイアスであろうが、4つの問題文や、それについての入不二さんの思索の範囲が、かなり特定のものに偏っていることである。というか、入不二さんがこれまで書かれてきた哲学的問題に触れるもののみが話題になっているとも言える。さらには、入不二さんも書かれているように、全員がおそらく大森荘蔵の圏域内にあり、さらにはヴィトゲンシュタインの手のひらの上にあるということである。われわれ(含む私)の最大の課題のひとつは、いかにしてヴィトゲンシュタインから逃れつつ哲学できるかということであるように私はひしひしと思う。

あとは、入不二さん自身書かれているが、彼自身が以前に予備校教師をしていたということがある。この異様な執念は、そのときの体験があるのだろうし、予備校の模範解答を作っている人々の実際の顔が目に浮かぶからだろう。さらには、これらの文章を入試問題に出す大学教員の姿も目に浮かぶからだろう。入不二さんが禁欲したこの点をめぐって、さらに一冊本が書けるように思える。