『なぜ意識は実在しないのか』
- 作者: 永井均
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/11/06
- メディア: 単行本
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永井均さんの新刊を入手。パラパラと全体を読んでみた。ある意味、非常にシャープな主張をしていて、刺激的な本になっている。ただ、このシリーズ全体の特徴というか、講義形式はいまいち読みにくいとも言える。永井さんが問題にしたいことは、私もかつて彼と議論の応答をしているので、ほぼ完全に分かる。永井さんの出している答えの方角も、大きな異論はいまのところ思いつかない。再確認したのは、この問題設定それ自体はやはりヴィトゲンシュタインの手のひらの上だろうということ。永井さん自身は、たとえば私的言語の可能性についてのヴィトの解決は間違っていると断言していて、ヴィトの追随者ではないとしているが、私的言語という議論枠組みそれ自体はヴィトの手のひらの上ということに違いはない。ヴィトの呪縛を脱するには、このような問題設定それ自体から脱出するしかないだろう。しかし脱出するにはあまりに魅力的な問題系であるが。永井さんの言いたいことは、もっと前に進められるように思う。いずれちゃんと読み返して、きちんと絡んでいきたいと思っている。