町田宗鳳・島薗進編『人間改造論』
ここのところkanjinaiさんも論文を書かれているが、「人間の能力や寿命を押し広げる技術をどのように評価すべきか」といういわゆるエンハンスメントの問題がある。これは、このところのエンハンスメントに関する議論について、書籍の形で日本人研究者がこのテーマを扱う、恐らくは最初に近い本であろう。
- 作者: 鎌田東二,粟屋剛,上田紀行,加藤眞三,八木久美子,町田宗鳳,島薗進
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2007/09/20
- メディア: 単行本
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興味深いのは、こうした本が生命倫理からではなく、宗教学や文化人類学からアプローチされていることである。私自身、各論者の意見にそれぞれ全く賛成というわけでもないし、論理的に飛躍していると感じた論文もある。しかし、生命のありようを文明論的視座で語った、研究の第一歩としてこの出版を喜びたい。議論はここから始まる、そのような感じの本である。