人工呼吸器を利用して生きる

また、悲しい事件が起こった。
京都府長岡京市の開業医がALSの義母に告知をせず、死に至らしめた件
告知したかどうか、インフォームド・コンセントが十全に行われていたかどうかだけを問題にするのは、問題の一側面だけの指摘である。より大切なのは、呼吸器をつけていれば生きられる人を、「本人の自己決定」を根拠にしてであっても生きられないようにするという問題であり、私はそのことをも問題であると考えている。本人には、死にたいという欲望はあるにせよ、欲望は一枚岩ではないはずだ。さらに、もっと問うべきは、呼吸器をつけながら生きることを否定的に考えてしまう私たちの価値観ではないだろうか。
私は昨日、メガネのフレームを壊してしまった*1。私はメガネがないと生活できない。「メガネがなく、見えないから私は死にたい」と言ったら、きっと周りの人は私を変な目で見るだろう。そのときほとんどの人はメガネや、壊れたフレームを修理したり新調したりすることを薦めるだろう。だが、人工呼吸器がないと生きられない人の「死の自己決定」は現実的にはかくも簡単に受け入れられたりする。この差異を考えてみることは、非常に重要である。
とりわけ、倫理問題を考えるとき、私たちはその現場についてよく知らないで、思い込みで何か言ってみたりする。「現場至上主義」に陥らずに、しかし現場で起きていることを元に思考することは、非常に大切だと私は考えている。そのためにこそ、以下のような集会が開かれてよいし、多くの人に関心を持たれてよい。
個人的には、幼少のころから知っている(同郷の)平本歩ちゃん(もう「ちゃん」づけする年でもないか…)が出るということで、関心がある。


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人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)
2007年度 第17回 定期総会 講演会&シンポジウムのご案内
 〜人工呼吸器をつけた子どもたちの自立に向けて〜
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 この数年、障害者をとりまく社会環境や制度は大きく変化しました。
 しかし、呼吸器をつけて生きる子どもたちが、当たり前に自立して生きられる状況ではありません。交通機関の利用、就学、日常生活においても、たびたび問題がおこります。本人主体の支援がなされないため自立を妨げ、多くの家族が日々困憊しているのが現状です。このような弱い社会ではなく、力強い安心社会のために語り合わなければなりません。 人工呼吸器をつけていてもどんな障害があっても、当たり前に自立して生きられる社会とはどんな社会なのでしょうか?
 講演会では、17年間、呼吸器とともに在宅生活を続けてこられた平本歩さんの暮らしと想い、そして、これから望むことについてお話いただきます。
 シンポジウムでは、呼吸器をつけながら自立生活をされている女性、歩さんのサポートの中心的存在であるヘルパーの方に実生活のことをお話いただき、障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議の方には自立支援法について、重心施設の施設長の方には施設と地域生活支援について、行政からは大阪府教育委員会の方に教育の場における支援についてお話いただきます。 平本歩さん、シンポジストの皆さんと共に、呼吸器をつけた子どもたちの自立を実現していくために、問題点や課題を明らかにし、何が必要なのかを考えます。

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◆とき◆2007年8月5日(日)13:00〜16:30
◆ところ◆ホテル阪急エキスポパー
     大阪府吹田市千里万博公園1−5 (TEL 06-6878-5151)
◆参加費 : 資料代 300円

◆講演会&シンポジウム◆
 テーマ 「呼吸器をつけて地域で暮らす〜自立に向けて〜」
 ●基調講演 (13:00〜14:00)
  *バクバクの会 平本 歩 氏
 ●シンポジウム(14:00〜16:30)
  *町田 久美子 氏 ((株)はぁとふる代表取締役
   「新たな決断・地域で暮らしていくために」
  *吉本 奈央子 氏 (介護舎 てにてを サービス提供責任者)
   「歩さんのサポートの現状と今後の課題」
  *姜 博久 氏 (障害者自立生活センター スクラム代表)
   「障害者自立支援法の問題点と課題」
  *杉本 健郎 氏 (社会福祉法人びわこ学園統括施設長)
   「重心施設と地域生活支援」
  *矢木 克典 氏 (大阪府教育委員会障害教育課主任指導主事・主査)
   「地域小中学校における看護師補助金制度化の経緯と意義」
  *コーディネーター 河野 秀忠 氏 (そよ風のように街に出よう編集長)

◆お問い合わせ◆
 バクバクの会事務局(T&F: 072-724-2007)
  E-mail: bakuinfo(アットマーク)bakubaku.org
 バクバクの会関西支部 七里のり子(T&F: 077-589-2467)
  E-mail: shichiriyns(アットマーク)yahoo.co.jp

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◆主 催◆
人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)
バクバクの会 関西支部

◆後 援◆
大阪府/大阪府教育委員会/大阪市/大阪市教育委員会/吹田市/社団法人 大阪府医師会/ 社団法人 大阪府看護協会/ベンチレーター使用者ネットワーク/日本ALS協会近畿ブロック/自治労近畿地方連絡協議会/大阪頸髄損傷者連絡会/大阪府職員組合/障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議/NPO法人自立生活センターさっぽろ/ (予定)大阪市職員組合 協賛: ?エムジー大阪/フジ・レスピロニクス?/

*1:いまは代用のメガネをかけている。