雨宮処凛『プレカリアート』

雨宮処凛さん、今年いったい何冊出すんだろう、と思いながら今回もまた読んだ。

プレカリアート―デジタル日雇い世代の不安な生き方 (新書y)

プレカリアート―デジタル日雇い世代の不安な生き方 (新書y)

はからずも有名になってしまった言葉「プレカリアート」とは、「プレカリオ(不安定な)」と「プロレタリアート」の造語であり、「不安定な雇用・労働状況における非正規雇用者・失業者を総称している」(カバーの耳より)。いまや、ネットカフェはおろか、ファストフード店で100円のハンバーガーを注文し、トレイを横にし「自分は客だ」と主張しながら、仮眠をとる者まで出始めてきている、とこの書は述べる。

注目は何と言っても石原慎太郎東京都知事との対談だろう。ひたすらすれ違っている感を受けたが、その中にも得も言われぬ「一体感」のようなものがあるような気もした。しかし、やはり「努力の大切さ」を強調する石原都知事には、雨宮さんの言う通り、「努力しても報われない人。努力する機会すら与えられない人の存在は、都庁のビルからは見えないのかもしれ」(p.216)ない。