エンハンスメント:ドイツからのレポート
- 作者: 生命環境倫理ドイツ情報センター,松田純,小椋宗一郎
- 出版社/メーカー: 知泉書館
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
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エンハンスメントとは、人間の遺伝子操作や、脳操作や、薬物投与などによって、技術的に人間の能力を増強することである。それはドーピングなどの形ですでに実現しているが、今後、もっと本格的な形で応用されていくのではないかと考えられている。遺伝子操作をすると、その結果が身体に埋め込まれるわけだし、「生延長」も一種のエンハンスメントだろう。また、自分だけではなく、子どもにそれを使っていいのかというのも大問題である。近年の生命倫理の大トピックである。この問題については英語圏の議論が隆盛しているが、ドイツでのレポートが今回翻訳された。この分野は英語の情報しか流通しないので、この翻訳は非常に貴重であると思う。著者は、生命環境倫理ドイツ情報センター(DRZE)の若手研究者たちである。このセンターはドイツのボンに置かれていて、実は私も訪問したことがある。瀟洒な建物にあって、全世界の雑誌が壁一面に並べられていたのは圧巻であった。日本の生命倫理の雑誌もあった。そこの偉い学者とディスカッションしたが、脳死移植については話がいまいち噛み合わなかったのであった・・・。あまり時間もなかったし、今度は、この著者たちと話をしてみたい。ヨナスやハバーマスら、ドイツの生命倫理学も目を離せない状況である。