フェミニズムのパフォーマンス

 「館長雇止め」裁判の判決が出たようだ。「とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ」で館長を務めていた三井マリ子が、原告となっている。提訴の内容は、原告によれば次のものである。

 三井さんは、2000年に、「すてっぷ」の初代館長募集に応募した。採用され、非常勤で館長として週22.5時間働いていた。ところが、2004年、とよなか市が組織強化の理由に、館長を常勤職とするために、再び採用試験をおこなうと決めた。三井さんは応募を認められたものの、不合格となった。しかし、三井さんが試験を受ける2ヶ月前に、次期館長はうちうちに決定されていた。その結果、三井さんは館長の職を追われた。三井さんは、自分の処遇には、二つの理由があるという。一つは、「すてっぷ」や三井さん個人への、一部勢力の嫌がらせ行為が増えており、それらに対して、市側が対峙するのではなく、三井さんを排除することで解決しようとしたため。もう一つは、女性の嘱託職員の雇用条件変更に対し、三井さんが抵抗することを嫌がったため。三井さんは、これらはバックラッシュである、とした。

*原告の第一回口頭弁論原稿より、私(font-da)がまとめた(http://fightback.fem.jp/genkokukara_teiso.html

 多くのフェミニストが「バックラッシュと闘う」というスローガンのもと、裁判支援を行っていた。三井さんの後に館長に就任した桂容子を、証人として呼ぶための行動など、積極的に動いていたようだ。(実現された)私も、フェミニズム系の団体の通信ペーパーを通して、目にすることがあった。判決は、請求棄却と、訴訟費用は原告側の負担とされた。三井さんを支援する「ファイトバックの会」は、不当判決と声明を出している。(この裁判の支援活動に対しては、macskaさんが痛烈に批判している。http://macska.org/article/200
 どう考えたらよいのだろうか、と思ったら衝撃の映像を見てしまった。chikiさんが、記事で紹介している。(http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20070915/p2
 じ、時代が止まっている!!確かに、リブの人たち(田中美津とか)は替え歌が大好きだ。*1演説ではなく、もっとパフォーマンスを取り入れよう、というのはリブのいいところではあった。「ミューズカル(女の解放)」のビデオ上映会にいっても、「よく、こんなのやったもんだ」と思うくらい、面白い。(寺山修司が、小屋を提供したのもわかる。)ただし、それは、当時の時代情勢を考えると、という話である。パフォーマンスは、「いま・ここ」でしか生み出せないものがあることが重要なのだ。その場限りである、ということを考慮に入れると、何をするかは難しい。
 上の映像をみて、揶揄するのは簡単である。私も、正直、ドン引きする。しかし、なにであれば、有効なパフォーマンスとなりえるのだろうか?*2迎合することもなく、新しいパフォーマンスを生み出すのは本当に難しい。フェミニズムに限った話ではない。小泉元首相はパフォーマンス政治と呼ばれながらも、高い支持率を維持した。小泉さんと阿部さんの違いは、パフォーマンスの上手い下手なのだろうか。*3こう考えてくると、現代の私たちが、パフォーマンスをどう捉えているのかみえてきて面白い。

*1:そういえば、「サバイバーフェミニズム」の高橋りりすも講演会で歌っていた。でも、高橋さんはパフォーマーなので、歌も上手いし、歌詞の作りも気が利いているので、本当に面白かった

*2:ニコニコ動画で、組曲の替え歌でもやれば良かったか?

*3:阿部さんのしゃべり方の覇気のなさを、支持しない理由に挙げる人は、ワイドショーなんかでよく出てくる