医療社会学と専門家の権力
font-daさんの「定塚 甫「医者になる前に読む本――『診る人・診られる人へ』」」に関連して。kanjinaiさんの「トランスヒューマニズムの生命倫理」にもすこしだけ関連。
医療専門職が、医学という知識を持ち、医療者集団としての医師会を構成することによって、医師―患者間の権力性を保持してきたというのは、医療社会学の基礎である。次の本に詳しい。
- 作者: エリオットフリードソン,Eliot Freidson,進藤雄三,宝月誠
- 出版社/メーカー: 恒星社厚生閣
- 発売日: 1992/09
- メディア: 単行本
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原著はこちら。
- 作者: Eliot Friedson
- 発売日: 1970
- メディア: テキスト
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ただ、フリードソンは、この本が邦訳された以前、すなわち80年代以降から、その主張を変えてきている。
Profession of Medicine: A Study of the Sociology of Applied Knowledge
- 作者: Eliot Freidson
- 出版社/メーカー: University of Chicago Press
- 発売日: 1988/05/15
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Professionalism Reborn: Theory, Prophecy and Policy
- 作者: Eliot Freidson
- 出版社/メーカー: Polity
- 発売日: 1994/06/06
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Professionalism: The 3rd Logic
- 作者: Eliot Freidson
- 出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr
- 発売日: 2001/06/01
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フリードソンは、専門職批判から、「専門職はいかなる倫理性を有すべきか」という具合にトーンを変えてきている。これは、私には妥当なように思える。すなわち、専門性という権力の廃棄ではなく、専門家として行使すべき権力とは何か、を考えているように思うのである。
これまた大風呂敷な話で恐縮だが、言語実践や異なった身体がうごめく中にあって、権力は不可避なものである。それをなるべく極小にしようとすることは意味があるが、かといって全廃することは困難である。だとすれば、医療者の権力を、いかに患者側につけるのかということもまた目指されてよいはずだ。そして、その責任は、患者にあるわけでもない。私たちそれぞれが、考えるべきことではないのか。